蒼穹への扉
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虹の彼方へ
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第6章

 

終章

 

 三人はトルキアの北の国境に来ていた。
 昼前から降り続いていた雨も今では上がっていた。雲間から青い空が顔を覗かせている。横を駆け抜けていく風も、その冷たさの中に、春を感じさせるそんな季節になっていた。
 クイントは前方を見つめた。
 一歩踏み出せば、そこは北の隣国ルメシカになる。長い年月、トルキアと争っていた国の一つだ。
 互いに武器を手に、憎しみ合い、殺し合い、そして、ともに滅びの道を辿った。
 だが、こうしてルメシカを目の前にすると、トルキアとは何も変わりはしない。
 同じ大地が続いている。
 同じ人間が住んでいる。
 なのに、自分たちは──
 クイントは振り返る。
 最後にもう一度故郷の姿を目に焼き付ける。
 続いてタキトに目を向けた。
 三日前の答えを聞くために。
「オレは──残る。ここに」
 クイントは一瞬目を見開いたあと、それでも深く頷いた。
 いつか出会った老人に言い放ったタキトの言葉。──「大地はおれたちと共に生きる」
 きっと彼ならそうするだろうと、心の中では分かっていた。
 彼はこの大地と共に生きる道を選んだ。新天地を求めるのではなく、自分が生まれ育ったこの地を。自分を育んでくれた者たちが眠るこの地を。
「ここは、おれにまかせろ。お前は自分の願いを叶えるんだぞ。絶対な」
「わかった」
 タキトはにっと笑うと、右手をかかげた。クイントも同様に右手をかかげ、そしてタキトの右手をパシッと叩く。
「死ぬなよ」
「お前もな」
 タキトはシスヤの頭をくしゃっとなでた。
「クイントを頼むな」
 うん、とシスヤは力強く頷いた。
 別れは言わない。
 そして、二人は歩きだす。
 二度とこの地に帰ることはないだろう。
 そして、友とも二度と会うことはできないだろう。
 もう二度と──
 だが、二人は決して振り返りはしなかった。
 リクウェア──夢の国へ向けて二人は歩きだす。
 願いを叶えるために。
 愛しい者たちの想いを叶えるために。
 行こう。
 この道を進もう。

──いつかきっとたどりつけると信じて。
  家族のために、そして多くの癒されない魂のために。
  平和な国を求めて。
  そこに行けば、きっとわかる。
  自分たちに欠けていたものが。
  自分たちの国に戦があった理由が。
  どうして自分たちは幸せになれなかったのか。
  どうすればみんなが幸せに生きていけるのか。
  きっときっとわかるはず──

 空では大きな虹が彼らの未来を祈るかのように美しく輝いていた…。


第6章

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