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ぱちぱちと薪が燃える。
シスヤはとっくに眠りについていた。
残された二人は火を囲んだまま、特に話すこともなく、その炎をぼうっと眺めていた。
三人はあの後、ヒュホラの教えの通りに、まずは川のあるという方角へ向かった。だが、思うようにいい場所は簡単には見つからなかった。何時間も川を上流の方へと遡った。
そして、ヒュホラの忠告どおり、水場が近く、岩がごろごろしている場所に洞窟をみつけることができたときには、陽はすっかり西に傾いてしまっていた。
そこは小さな滝の傍らにある岩場にぽっかり口を開けていた洞窟であった。少々出入りをするには不便ではあるが、正面からぱっと見ただけでは、そこに洞窟があるようには岩が邪魔でわからない。
三人は日が暮れる前に、近くから薪と枯れた草を運んできた。山のように集めてきた草を、洞窟の中に敷いた。寝床とするのである。少しちくちくはするものの、岩の上にそのまま横になるよりは何倍もましである。
その証拠に、シスヤなぞは横になった途端、夕飯もそこそこに寝息をたてはじめた。昨日今日とずいぶん歩いて疲れたということもあるだろうが。起こすのが可哀想で、二人はそのままそっとしておくことにした。ヒュホラがわけてくれた干し魚。それから自分たちが村から持ってきた米を水で煮た。おかゆにも程遠いが、食べられるだけまだいい。
(炎…か…)
タキトの脳裏にニシアの死んだときのことが浮かんだ。あのとき、クイントの叫びに呼応するかのように炎が現れた。
(あれは、なんだったんだ?)
考えても全くわからない。
周りに火の気があったのかどうかはわからない。そんなこと確かめる余裕なんてなかったのだから。
ただ、周りに火の気があったとして、たまたま自分たちが地下室でニシアを見つけたときに、火が広がったとしても、その後、忽然と消えてしまった理由がわからない。あれだけ燃え盛った炎を一瞬にして消すことができるだけの水は少なくともなかったはずだ。火が消えたあと、地下室の床にはニシアの血以外、水気はなかったのだから。
そして、アネットが死んだときも、同じような現象が起こった。自分は地下室にいたから直接は見ていない。いつまでたっても降りてこない二人に不安を感じて、上に行ったとときには、すでにアネットは死んでいた。そして、二人がいた周りは火事でもあったかのように、焼けていたのだ。何よりも奇妙なのは、大勢いたはずの村人の姿が全くなかったということだ。
ちらりと、向かいに座っているクイントを見やる。
クイントはぼうっとしたまま、炎を見つめていた。 |