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久しぶりに目にするリクウェア───その変貌ぶりにリクシュは目を逸らした。
こんなにも、こんなにもこのほしは壊れやすかったのか───?
守るのは大変だけれど、壊すことは簡単だ――遠い昔、そう口にしたのはレイドだったか。
彼はここに来たとトゥティノは言った。
では、リクウェアの現状を目にしたはずだ。
レイドはなんと思っただろう。痛々しい姿を目の前に、彼はなんと叫んだのだろう。
――……クシュ……――
悲しげなトゥティノの姿が一瞬、目の前に現れた。
彼は、すっと崖の方を指さした。
一瞬不吉な予感がリクシュの頭をよぎる。
その不吉な予感が本当にならないでほしいと願いながら、リクシュは崖に走り寄って、上から下を覗き見た。
ひょっとしたら…。
リクシュの悪い予感は皮肉にも的中していた。
崖の途中に引っ掛かっている人影を見つけたリクシュは、全身から血の気が引くのを感じた。
「レイド───ッ」
できるかぎりの声を張り上げた。
しかしレイドはぴくりとも動かない。
───ガラッ──
レイドの近くの岩が崩れた。
「!」
一気に、レイドをさらうようにして、岩は連鎖的に崩れていく。
それを止める術をリクシュは知らなかった。
腹に響くような轟音を立てて崩れ行くのを呆然と眺めていることしかできなかった。
それは、本当に一瞬のできごとだった。
我に返ったときには、レイドの姿はリクシュの視界から消え去っていた。
「レイド───ッ!」
だが、それに答える声も、彼の姿ももはやない。
「うわああああーっ! レイド、レイド──ッ!」
流れる涙も構わず、リクシュはひたすらレイドの名を繰り返した。
いやだ、信じたくない。
彼が――レイドが消えてしまったなど、信じられるものかっ…。
こんな簡単に、あっさりと自分の前から姿を消すなんて考えられない。
リクシュは悪い考えをすべて否定するかのように、強く頭を振った。
信じるもんか――。
そのときのことだった。
びゅうと、強い空気の流れがリクシュを襲った。
目を開けていられないほどの砂埃と共に、それは崩れ行く岩を巻き上げるように下から吹きあげる。
リクシュは飛ばされないよう地面にはいつくばり、下を覗き見た。
と、それと同時に下方から黒い影が舞い上がってき、リクシュの頭上をよぎった。
強風がふと止み、穏やかな風に変わった。
リクシュは立ち上がると影の正体見て、しばしの間、驚きの余り声も出なかった。
───風の「こころ」、レイド…
生きていた――?
(風が、レイドを助けた───?)
大地には優しい風が戻ってきていた。
(風がレイドを助けたんだ!)
リクシュが真下に行くと、途端、重力が戻ってきたかのように、レイドを支えていた風が消えた。
「うわっ!」
そのまま、ズドンとみごとにリクシュの上に落ちる。
「ったあー……」
下敷きになったリクシュは頭をさすりながら、ゆっくりと身体を起こした。
「う……」
今の衝撃で気がついたレイドが、瞳を開く。
「リクシュ…おれは───」
「───…」
リクシュの顔からレイドは全てを読み取ったのだろう。ゆっくりと体を起こすと、崖のほうを振り向き見た。
「風か───…」
そしてリクシュの顔を見る。
「お前…ひっでー顔してんぞ」
リクシュは一瞬きょとんとすると、苦笑する。
「よくいうよ。自分だってすごい格好しているくせに」
「そっかあ?」
思わず自分の服をまわしみる。確かにひどい格好だ。
お互い顔を見合わせて吹き出した。
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