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タキト's STORY |
夢を見た。
どこまでも広がる草原におれは一人立っていた。
見たこともない緑がまぶしくて、空を仰ぐ。
空には柔らかな白い雲がゆったりと流れていて、真っ青な空に映えていた。
こんなにも空は澄んだものだったんだろうか。
こんなにも降り注ぐ太陽の光は優しかったのだろうか。 |
なんだか無性に悲しくなった。
なぜだかわからないけれど、泣きたくなった。
胸がいっぱいになって、目の前が霞んだ。
でも、おれは涙をぐいと呑み込む。
今はまだ泣くときではない。そう思ったから。 |
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おれは今の自分が決して不幸だとは思わない。
確かにおれたちは決して恵まれているとは言えない。
裕福でもない。平和でもない。大切な人を失う悲しみも知っている。
けれど、確かにおれは今生きている。
だから、おれは自分が不幸だとは思わない。
生きていれば何だってできるんだ。そう信じているから。 |
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おれが生まれた場所には、確かにこんなに豊かな緑はない。
澄んだ青空の下を思う存分走り回った記憶もない。
幼いからといって、「戦」から離れられるわけでもなく、己の身を守る術を教わる。
だが、そんな自分を不幸だと思ったことはない。
今まで一度たりとも。 |
裕福だったら、平和だったら、と考えることはある。
もしそうだったら、自分はもっと違う人生を歩んでいたかもしれないと。
でも、それは「今」の自分を否定することにつながる。
何よりも、今までおれが出会ってきた大切な人たちを否定することになる。
「今」のおれだからこそ、あった出会いがある。 |
大切な人たち。
生意気だけど、甘えん坊なシスヤ。
いつも優しく見守ってくれているニシアおばさん。
小さいときからおれたちの心の支えになってくれていた……アネット……
そして、不器用だけど、人の心の痛みがわかるおれのたった一人の親友クイント。 |
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おれは心底思う。
みんなが本当に自分の幸せを求める世の中が来たらって。
自分の幸せを求めることが当たり前の時代がいつかきたらって。
――そうして、その時代を作るのは、おれたちなんだよな……。 |