私は緑を知らない。
大地にあふれる緑を知らない。
色とりどりの花々が咲き乱れる野原も。
青空を流れる白い雲をゆっくりと眺めたこともない……。
いつでも私たちが見る空はどこかしらどんよりとした空気を背負っていて。
大地も大気も悲しみに満ちているように見えた。 |
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「美しい自然」なんて言葉はとうの昔に私たちが生まれた国からは消えていて、戦乱の中を私たちはただ生きるしかなかった。
武器を手に。
悲しみを心に。
――憎しみを胸に。
心安まる日々などないに等しい時の流れの中、私たちは一日一日を生きるのに精一杯だった。 |
それでも。
それでも私は思う。
ここに生まれてきてよかったと。
大切な人たちと出会えたから。
大切な思いに出会えたから。
私はここに生きていたことを幸せだったって。
後悔はしていない。
だから、忘れないで。
私たちは戦をするために生まれたのではなく、
幸せになるために生まれてきたのだってことを――。 |
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